創業について
上着を着ない人はいても、ズボンを穿かない男性はいない
株式会社 エミネントの前身である株式会社 越前屋。その創業者である高野 匡央(タカはハシゴダカ)。彼こそが、わが国におけるスラックス業界のパイオニアであるといっても過言ではありません。彼が働いていた繊維商社、大阪支店長の協力もあり、その支店の2階に間借りする形で独立したのが『越前屋』創業の始まりです。
11月1日 資金30万円足らずで独立、紳士用ズボンを加工・販売
彼が手がけたのは、紳士用ズボンだった。利幅が少ないため、誰もが敬遠してきたズボンに、彼はあえて挑戦したのである。彼の父(久次)が営んでいた婦人服問屋は見込み生産による余剰品を見切ることが多く、それを見て育った彼は「利幅が少ないものなら、当然見切り品も少ないはず」と考えていた。そんなある日、町でシャツ姿で働く男たちを見て、彼の頭の中にひとつの思いが去来した。「上着を着ない人はいても、ズボンを穿かない男性はいない」。この明快な着想から、日本初ズボン専業メーカーが誕生したのである。
必需品の強み
当時は大阪・谷町を中心に紳士スーツを扱う業者が台頭していたことから、 競合を避けてアイテムをズボンに絞り込んだ。 取引先も百貨店に絞り込んだ。 百貨店は流通業の王様であり、「不渡り手形をつかまされるリスクもなく、 一流商品の証明にもなり、自社の信用力も高まるはず」とみていた。 無名の会社に過ぎなかったが、必死の営業活動が実を結び、現在の 近鉄百貨店を皮切りに三越、阪急百貨店、大丸、髙島屋と数年で大阪の 有名百貨店との取引を拡大していった。
工場軸に未来を切り開く
今回のコラムでは、エミネントの創業についてご紹介させていただきました。 ご存じだった方も、そうでなかった方も、少しエミネントのことを 知っていただき、またエミネントのズボンを穿いていただけたらズボン屋冥利に尽きます。
さて、最近のエミネントでは、数年前から事業の選択と集中を進めてきています。 国内では2018年に『エミネント』ブランドへの統合を完了し メンズパンツ専業の『ファクトリーアパレル』として邁進しています。 百貨店にあった売り場は、時代の変革とともに縮小、一方セレクトショップなどの OEM(相手先ブランドによる生産)を行ったり、海外の小売店に 『越前屋』のブランド名を冠したオリジナル商品の卸し売事業を行っています。 また、このコラムをご覧いただいている方にはお馴染みの オンラインショップも5年前に開設し、国内はもとより世界中に エミネントのスラックスを穿く男たちが増え続けています。 ズボン単品専業としてものつくりと真摯に向き合う姿勢を貫き これからも未来を切り開く所存です。 最後になってしまい恐縮ですが これもひとえにお客さま、お取引先さま、従業員およびそのご家族さまの おかげと感謝いたしております。