モノトーンが気分

メンズスラックス専門メーカーのエミネント社でも特に開発に力を入れているカルツォーニが依頼し、製作されたレディーメイドモデル生地は、世界でも有数のミル(自社で生地を生産している=織り元)と言われているCANONICO社のもの。近年、クオリティーに対するプライスバランスの良さなどによって評価が高まっているCANONICOのコレクションより、ややライトウェイトなサージを選びました。起毛感が少なく、ハリ・コシ、柔らかさを持ち合わせた使い勝手の良い実にベーシックな生地です。深みのあるチャコールグレーと濃度が程よいグレーの2色をご用意しました。カルツォーニと言えば、エミネントの中でもテクニックと経験に裏打ちされたモダンさが魅力のひとつ。

モダンさの秘密

そのモダンさは例えば、ヒップポケットの形状や玉縁幅、ベルトループの細さなどに感じる事が出来ます。元々、スラックスの完成度は非常に高く、カルツォーニでも以前から製作をしていたのですが、こちらのモデル"ハーフワンピーストップ"では、同ブランドの魅力であるモダンさを更に進化させるべく、アジア人の体型に合うような腰回りに添うウエストの製作を実現しました。欧米人と比較すると平べったいと言えるアジア人の体型。前股上を浅く、ヒップラインのフィット感を高め、切れ上がったヒップラインを実現させるのは、エミネントスラックスと言えども1回のサンプル作成では難しく、数回のサンプル作成を経て、ようやく完成。スリムですが、動き易さを確保し、美しいテーパードラインを描くシルエットです。

サルト仕立て

もちろん、パンツのフロントはパンチェリーナ仕様。シルエットはモダンになってもサルトのテクニックをそのまま活かしています。持ち出しもカーブ持ち出し(厳密にはパンチェリーナとは内側天狗のこと。外側は持ち出し)、ハンド風ボタンホールといったサルト物かと見間違えるほどの仕様。アイコンとなるのは、腰位置のウエスマンのないハーフワンピーストップ仕様。通常ハンドでなくては作り得ないディティールです。このように、レディーメイドですがオーダー品と変わらない工程を経て作られています。シルエットはスリムなパンツに合わせてワタリ巾、スソ巾が程良くスリムに、また前股上は少し短めに仕上げました。随所に繊細に作られたカンヌキ留めは、MFUマイスター認証をもつ、眞弓技術長自らが縫い付けがてら、出荷前の検品をするという拘りようです。書ききれない程の魅力を持つこちらの一本。ぜひ体感してみてください。