デニスラ選びは、シルエットとサイズに注意。紳士スラックスの専門メーカーがデニムスラックスの着こなしを解説
デニムは本来、カジュアルスタイルの中軸。ただしスラックス型となれば活用の幅はグッと広がる。それを実証するオン・オフ使えるサイズ選びと最適なシルエットを取り上げる。
●足がキレイに見える”デニムスラックスの正しいサイズ”の選び方
●デニムスラックスの正しい丈の選び方
●デニムスラックスの裾はシングルとダブルどっちが良いの?
スラックスの専門メーカーとして創業70年で培った幅広い知識を持つスラックスのプロ、エミネントが語る「デニムスラックスのサイズ」の解説です。
デニスラのサイズ選びに迷っている人は必見です。
大人たちのカジュアルスタイルになくてはならないデニムと、ビジネススタイルに欠かせないスラックス。言うなればデニムスラックスは、双方のいいとこ取りといったところ。我々にとって身近なデニム生地を使いながら、美しいシルエットや端正さを演出する仕様で仕立てた一本は、双方のシーンを行き来できるオールマイティさを発揮してくれる。
スラックスはウエストではなくて、「ヒップ」でサイズを決めましょう
日本人はウエストに対して、太腿が太い人がほとんど。
これは日本人が農耕民族だからとか、太腿が太くなりやすい野球やサッカー経験者が多いからとか、諸説ありますが…。
真相はひとまず置いておいて、ウエストでサイズを選ぶと、太腿がパツパツになってしまうことも多いのです。
これは「パンツの形が自分にあっていない」のではなくて、サイズの選び方がそもそも間違っているんです。
基本的にヒップの大きさと太腿の太さは比例するので、ヒップでサイズを合わせると太腿がパツパツになることなく、スラリとしたキレイなシルエットでスラックスを穿くことが出来ます。
スラックスを穿いた時に、ポケットがこんな風にパカッと開いてしまっている時はヒップのサイズが小さすぎ。
ポケットが開いていると基本的には太ももがパツパツになってしまっています。
デニムは細身で穿いたほうがスラリとスタイリッシュな雰囲気が出ますが、デニスラをここまで細く穿いてしまうと、スタイリッシュというよりは
● パツパツ
●ムリして細い服を着ている
という印象が先行してしまって、マイナス効果です。
サイズを1サイズ上げてみましょう。
逆にお尻の下部分がオムツをはいているかのように余ってしまっている場合は、ヒップが大きすぎ。
穿き心地は楽かもしれませんが、後姿がだらしなく見えてしまいます。
ジャケットを着ていれば、目立ちませんがオフィスに着くとジャケットは脱いでしまうもの。
クールビズ時ならなおさら。意外と目立つのでサイズを1つ下げてみましょう。
ほとんどのデニムは、スラックスと違い、ウエストのサイズを拡げることは出来ません。しかし、実は縮めるお直しはすることが出来るんです。
修理代金は購入店舗なら1500円前後くらいでやってくれますよ。
あまりにウエストが余るならお直し、少しだけならベルトで調節すると良いでしょう。
スラックスのサイズはウエストではなくて、ヒップで選びましょう。
デニスラの丈の長さはショップスタッフに任せてはダメ?
デニムスラックスを裾上げする時は、必ず「ノークッションorハーフクッションで!」とリクエストしましょう。
「お任せで!」はNGです。
洗った後の縮みを恐れるあまり、デニムパンツの丈は長めに採寸してしまうショップスタッフは多いのです。
長めにしておき、万が一失敗しても短く再修理することが出来るのはウール系のスラックスだけです。これはデニスラには通用しません。
デニスラは文字通り、デニム生地を使用していますが、スラックスに仕立てる為に、スラックス専用のデニム生地を使っています。なので、いわゆる生デニムなどのように何センチも縮むようなことはありません。
また、デニムスラックスの丈を長めにしてしまうと、裾がクシュクシュとたるんでしまいます。
このクシュクシュの事を”クッション”と言います。
クッション=シワです。シワが強いとどうしてもだらしない印象を感じさせてしまいます。
加えて、スラックスのクリースラインがシワによってぼやけてしまうので、足のラインも短く不格好に見えてしまいがちです。
クッションが
● 全く入らないノークッション
●1か所だけ軽く弛む位のワンクッション
●ノークッションとワンクッションの間の”ハーフフックション”
にすると、パンツがシワシワにならずに誠実な印象を演出します。パンツのラインもシワで歪まないので脚をスラリと長く見せる効果があります。
ちなみに、これがノークッション。
こっちがハーフクッション。
これ位の丈にすると、清潔感を感じ、シルエットもスラリとしていることに気づくはず。
裾上げの際はショップスタッフさんに「ノークッションorハーフクッションで!!」とリクエストするようにしましょう。
最後にコレは、NG例。
引きずらないから大丈夫とここまで長くするのは、NGです。また、スラックスだからといって、ビジネスシューズのような黒の表革の靴を合わせるのもイケてないですね。
ネットで買ったから自分で採寸しないといけない
スラックス専門メーカーのエミネントなら、ご自宅で試着してから購入が可能な「試着サービス」があります。フィッティングに不安ならお電話でお気軽にお問い合わせください。販売歴ウン十年の現役ショップスタッフが、対応しますのでご安心を。
くるぶしを目安に採寸するのがおすすめですね。
靴を脱いだ時に
●くるぶしが覗く長さ→ノークッション
●くるぶしがぴったり隠れる長さ→ハーフクッション
●くるぶしがぴったり隠れる長さプラス1~2㎝→ワンクッション
が目安です。
ちなみに
●裾幅が狭いパンツはノークッション~ハーフクッションの短めの丈
●裾幅が広いパンツはワンクッションの長めの丈
にすると相性が良いですね。
最近のスラックスは裾幅の狭い「テーパードシルエット」のパンツが多いので、基本的にノークッションかハーフクッションにすると良いでしょう。
スラックスの裾はダブルがおすすめ!
スラックスの裾が、折り返しのダブルになっている仕様がお好きな方も多いのではないでしょうか?
結論!デニスラの裾 ダブルに似せたたたき仕上げがおすすめ
スラックスの裾のダブルはカジュアルな意味を持っているんです。
だから、結婚式などのスーツスタイルではシングルの方が良いとされています。
デニム生地を使用したデニスラは、言うまでもなくカジュアルな服装です。
スラックスの裾には、シングルとダブルがある
スラックスなどのパンツの裾の仕様には、
・ターンナップカフ
・ターンナップス
ともいいます。
また、専門的には、
・マッキン
・カブラ
とも呼びます。
ちなみに、シングルもダブルも日本での呼び名(和製英語)なんです。
デニムパンツの裾の仕様は、
これらを総称して
また、お店によっては、
・Gカット
・ウエストポイント
などとも呼ぶショップスタッフもいます。
エミネントスラックスオンラインでは、これら全て「たたき」としています。
たたきの巾を太く(広く)するとダブルに似せられるんです!
たたきの巾を3.5~4.0cmほどにして、一折りすればダブルに似せられます。
ダブル風にたたきをキメたら、クリーズラインをつけるのをお忘れなく。
ここからは、一般的なスラックス(ウール素材など)のダブルについて解説です。
スナップボタン留めと糸留め
スナップ・ボタンで留めてあるもの(スナップ留め)や、糸で留めてあるもの(糸留め)があります。
写真が糸留めのダブルの裾。
■糸留め
すっきり綺麗な見た目、ただしブラッシングはしづらい
■スナップ留め
ブラッシングがしやすい、しかし厚みがある分少し浮いたような感じになる
フォーマルスラックスの場面ではダブルの裾はNG
このダブル、結婚式にお呼ばれした場合なども含めたフォーマルの場面ではNGとなります。
例えばフォーマルの最高峰、燕尾服やモーニング、それからタキシードなどの服ももちろんシングルになっていて、折り返されてはいないですよね。
もちろんスーツを着て結婚式に行く場合でも、ダブルを選ばない方が良いんです。
カジュアルな2次会や、いわゆる略礼服の範疇でスラックス単品を着用される方もいらっしゃいます。
いわずもがな、この場合でもスラックスの裾はダブルにしない方が賢明です。
ダブルのメリットは?
まず、重みをつけて裾を綺麗に落とせる。
薄手の夏のスラックスに有効なんです。
夏のスラックス生地は薄いので、裾に重みをつけて、パンツの裾のたるみを少なくし、シルエットを美しく魅せる効果がある。とはよくオサレな人たちが常套句としています。
また、最近ではパンツの裾が細くなったため、
裾が長めだとクッション量が多くなり、もたついた印象になる。
そこで短めの丈、特にカジュアルの場合はパンツの丈が極端に短いトレンドになっているのですが、
この場合に裾をダブルにすると、バランス良く見えるというのも一理あり。
ここにポイントが隠れていますが、カジュアルな印象が強くなるということ。
カジュアルなチェック柄のスラックスの裾などは、ダブルにしてみるとカジュアル感にマッチする。
シングルのメリットは?
ダブルよりも足が長く見える・・・
そんなことはありません!
そこまで影響はないようにも思いますが、注意が必要なのはダブルの折り返し幅。
身長に対して幅が広すぎると、確かに感じる部分ではあります。
そして、シングルは何といっても、フォーマルスラックスに対応したものであるということ。
ダブルの幅もいろいろ
実は、ダブルの幅もいろいろなものがあります。
既製服では、4センチ〜4.5センチの設定が多い。
折り返した部分が長ければ長いほど際立ち、足の長さの見え方が変わる・・・なんてよく言われます。
オーダーメイドでスラックスを仕立てる場合などは、身長とのバランスでダブルの長さを作り手と話してみるとおもしろいですよ。
オーダーメイドスラックスのおすすめ
シングルの裾からダブルの裾に修理できるってご存知でしたか?
ちなみに、スラックスのシングルの裾でも裏側に折り返された部分があります。
この部分を使って、ダブルにすることもできなくはない。
とはいっても折り返された部分だけでは足りないことも事実。
もし同じ生地があれば、表にダブルっぽく生地を縫い付ける、という裏技が存在するんです。
残念ながらエミネントの工場ではこのような修理を承ることは出来ませんが、
ご希望の場合は、腕の良い修理屋さんが実はデパートには多数在籍しているんです。
困ったら店頭のエミネントスタッフに相談してみてください。
まとめ
もともとがデニム生地を使用しているので、シングルなどのフォーマルな仕上げは向いていない。
しかし今のファッショントレンドはダブルなので、
ドレススタイルを楽しむ場合は、たたき仕上げを折り返すテクニックで
旬のデニスラスタイルを自由に楽しんでください。
デニスラならではの楽しみ方がここにあり。
たたきのステッチ巾にもこだわってみると面白いことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
ぜひデニムスラックスに挑戦する際には、裾を一度チェックしてみてくださいね。